こんにちは、ぽんこつです。
2026年10月から、証券各社で未成年者向けの「こどもNISA」の口座開設受付が始まります。
かつてのジュニアNISA廃止を経て、未成年向けの制度が改めて注目を集めており、教育資金の準備として気になっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、サラリーマン投資家としての私の結論から言います。
「親のNISA枠(最大3,600万円)を埋めきれていないなら、こどもNISAは不要」です。
今回は、なぜ私がこの制度に疑問を感じているのか、そして「どんな層が使うべきか」を、制度の詳細や具体的なシミュレーションを交えて私見を率直にお話しします。
「こどもNISA」とはどんな制度?
まず、制度の概要を簡単に整理しておきましょう。
こどもNISAは、18歳未満の未成年者を対象とした非課税投資制度です。
親権者が代理で口座を管理し、子供名義で資産運用を行います。
大人のNISAの積立投資枠分(600万円分)が子供用に付与されるという理解が簡単かと思います。
主なポイントは以下の通りです。
- 対象年齢: 0歳〜17歳
- 年間投資枠:60万円
- 非課税限度額:600万円
- 投資対象:特定の投資信託のみ
- 引き出し制限:12歳から条件付きで可能
一見すると「子供の将来のためになる素晴らしい制度」に思えます。
しかし、仕組みを細かく紐解いていくと、重大な使い勝手の悪さが見えてきます。
引き出しについての補足
- 12歳未満は原則として、口座の外へお金を引き出すことはできない
ただし、投資信託を売却して現金化することは可能ですが、売却した現金は引き出せず口座内で待機状態になる。また別の投資信託を買い直すことは可能。 - 用途が「子どものため」であること
中学・高校の入学金や授業料、塾代、留学費用といった教育資金や生活費などが対象です。
- 子ども本人が引き出しに同意していること
子どもの名義口座であるため、子どもが払い出しに同意していることを示す書面(本人の署名など)が必要です。
- 金融機関へ必要書類を提出すること
親権者(口座管理者)が、各金融機関の定める「申出書」などの書類を提出して手続きを行います。
親のNISA枠を残して「こどもNISA」を使うべきでない理由
最大のデメリットは、「お金の流動性(引き出しやすさ)が悪いこと」です。
一方で、大人(親)のNISA枠は、いつでも自分のタイミングで自由にお金を引き出すことができます。
前述の通り、こどもNISAは子供名義の口座であり、引き出し手続きに制約や手間が伴います。
ここで考えてみてください。
夫婦ふたり分のNISA非課税枠は、合計で3,600万円(1,800万円×2)あります。
親の非課税枠がまだスカスカな状態なのに、わざわざ使い勝手の悪い「子供名義の口座」に資金を縛り付ける必要がどこにあるでしょうか?
急な出費や生活の変化があったとき、親名義のNISAなら柔軟に対応できます。
流動性の観点から見ても、まずは親の3,600万円枠を埋めるのが最優先なのです。
実質的な「高所得者優遇制度」ではないか?という疑問
この制度の本質を考えると、「そもそも制度設計が悪いのでは?」と感じざるを得ません。
恐らく、国は「子供にかかる将来の教育費の不安を取り除こう」と非課税投資という枠だけを用意したのでしょう。
しかし現実は、親のNISA制度の単なる下位互換でしかありません。
そもそも論として、親のNISA枠(夫婦で3,600万円)を満額埋められる可能性のある人が、世の中にどれほどいるでしょうか?
大半の家庭は、親の枠を埋めるだけで手一杯のはずです。
では、ここで実際に「こどもNISA」を最速で満額埋められた場合、将来どのようになるかをシミュレーションしてみましょう。
0歳から10年で600万円(月5万円)を満額運用したシミュレーション
下記条件でのシミュレーション結果です。
・0歳から10年間、月5万円(年間60万円)を積み立てて上限である600万円を埋め、
・枠を埋めた後は追加投資をせず、放置した場合の18歳(高卒で社会人スタート)と22歳(大卒で社会人スタート時)の資産額です。
・年利は4, 7, 10%で計算
| 年利 | 18歳時点の資産額(増減額) | 22歳時点の資産額(増減額) |
| 4% | 約986万円(+約386万円) | 約1,349万円(+約749万円) |
| 7% | 約1,501万円(+約901万円) | 約2,624万円(+約2,024万円) |
| 10% | 約2,326万円(+約1,726万円) | 約5,082万円(+約4,482万円) |
ご覧の通り、年利7%で運用できれば18歳時点で約1,500万円、22歳時点では2,600万円オーバーという莫大な資産ができあがり、新卒の時点ですでに資産格差が出来上がっています。
もっと言うと、この時点で老後資金の問題はほとんど考えなくて良いと言えるでしょう。
しかし、冷静に考えてみてください。
最速5年や10年で600万円を埋められるのは、親のNISA枠の3,600万円をすでに使い切っているような極一部の富裕層だけです。
さらに、1年間で60万円という枠は贈与税がかからない範囲内の金額です。
その結果、その子が社会人になった際、どのようなことが起きるでしょうか。
一部の恵まれた家庭の子どもだけが莫大な資産を手にし、格差がより拡大してしまうのです。
こどもNISAという制度が何のためにあるのか、本当に必要としている人に届いているのか考えた方が良いのかもしれません。
こどもNISAが使い勝手の良い制度になるためには
私としては、以下のような明確なインセンティブが必要だと考えます。
- iDeCoや確定拠出年金のように、投資額に対する税制優遇(所得税・住民税・社会保険料の控除)を設ける
- 例えば投資額に対して10%でも良いので、投資金額の補助を行う(1万円投資すれば1.1万円分投資したことになる等)
こうした実質的なメリットがない限り、親のNISA枠を埋めきれる人以外にとって、この制度の利用価値はなくなってしまいます。
この制度を使うべき「唯一の層」と例外的な使い方
では、こどもNISAはどのような層が使うべきなのでしょうか。
結論としては、以下の優先順位をすべてクリアした人だけです。
- 夫婦のNISA枠(3,600万円)を使い切っている
- iDeCoや確定拠出年金などの制度も使い切っている
- それでもなお、家庭の資産として余剰がある
この条件に該当する極少数の方であれば、家庭の資産をさらに増やす選択肢として活用するのが良いと考えます。
ただし、「上記に当てはまらないけれど使ってみたい」という例外が1つだけあります。
それは、「子供の金融教育のためにあえて使う」というケースです。
あえて少額で子供名義の口座を作り、成長に合わせてチャートや資産の増減を一緒に見せる。
お金の教育ツールとして割り切って活用するなら、親のNISA枠が埋まっていなくても有意義かもしれません。
これに関しては私もどういうアクションをするか迷っているところです。
かく言う我が家も、自分たちのNISA枠3,600万円分を埋めきれるか怪しいところですので。
まとめ:我が家は親のNISA枠埋めを最優先します
10月から話題になる「こどもNISA」ですが、「子供のため」という言葉や周囲の雰囲気に惑わされる必要はありません。
- 12歳での引き出しは可能だが、全額解約や書類提出の手間がかかる
- 資金の流動性が高くて柔軟に使える「親のNISA(3,600万円)」が圧倒的に優先
- 満額運用時の効果は絶大だが、実質的には富裕層優遇・格差拡大の側面が大きい
- 使うなら「富裕層の余剰資金運用」か「金融教育」として
我が家はまず、親自身の足元(家計と自分たちのNISA枠)をしっかり固めることから始めていきます。
何事もバランスと優先順位が大切です。
自分たちの生活と考えをブレさせずに、焦らずに資産形成を着実に進めていきましょう。
