こんにちは、ぽんこつです。
金融庁によるNISA改正要望がありましたので、その内容をご紹介します。
個人的には子供がいあるので、かなり有難い改正内容かと思います。
改正内容の紹介の前に、このブログでは新NISA制度についてあまり触れてこなかったので、簡単にご説明します。
新NISA制度とは
2024年少額投資非課税制度です。
投資で得られた売却益や配当金に対し、本来であれば20.315%の税金がかかります。
しかし、NISA口座にて購入することで得られた利益に対して税金がかからなくなる制度です。
NISA制度の内容
・利用できる対象年齢は18歳以上
・1人あたり、最大1,800万円分の非課税枠がある
・1,800万円分の内訳はつみたて投資枠が600万円、成長投資枠が1,200万円
・年間最大360万円まで投資可能(つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円)
・つみたて投資枠では金融庁が指定した投資商品のみ購入可能
→S&P500やオルカンなどと呼ばれるインデックスファンドが購入可能
・成長投資枠は株式やETF、投資信託など幅広い投資商品が購入可能
以上が現行の制度ですが、これに対し改正案の内容が下記になります。
NISA改正案の内容
NISA改正案の内容は主に3つです。
これらについてご紹介していきます。
- 18歳未満でも利用可能
- スイッチング制度導入
- 商品ラインナップの拡充
18歳未満でも利用可能
子供がいる家庭からすると神改正
現在のNISA制度を利用できる年齢は18歳以上ですが
この改正要望が通れば、18歳未満でもNISAが利用可能になります。
目的は若年層の早期資産形成を支援とのことです。
2023年までは子供や孫の資産形成の制度として、2016年から開始したジュニアNISA制度がありました。
しかし、この制度を新規に活用することができないため、現状子供名義での資産運用はできない状態です。
そのため、NISA制度の対象年齢拡充は子供がいる家庭にとって非常にありがたいですね。
ただし、18歳未満が利用できるのはつみたて投資枠しか与えられないという話もあるようです。
これに関しては、今後決定していく内容に注目ですね。
仮にそうなった場合であっても、600万円分の非課税投資枠があるので、
教育資金確保にも非常に大きな役割を果たすと期待しています。
教育資金準備のための利用
2026年から制度が拡充されたと改定し、下記の6パターンでシミュレーションをしてみました。
・2026年時点で子供の年齢が3歳、18歳までの15年間積立、運用
・初期投資費用:54万円
→3歳までに支給された児童手当1.5万円分を貯金していたと想定
・1か月の積立額:1, 2, 3万円 (3万円積立で投資元本が約600万円)
→月々の児童手当の1万円+1万円, 2万円
・1年間の想定利回り:5%, 7%
1か月の積立額 | 想定利回り | 投資元本 | 15年後の資産額 |
---|---|---|---|
1万円 | 5% | 234万円 | 約381万円 |
2万円 | 5% | 414万円 | 約649万円 |
3万円 | 5% | 594万円 | 約916万円 |
1万円 | 7% | 234万円 | 約471万円 |
2万円 | 7% | 414万円 | 約788万円 |
3万円 | 7% | 594万円 | 約1,104万円 |
結果、利回りが5%の場合でも3万円(児童手当の1万円+追加2万円)を積立、運用することで、約900万円分の資金を作ることが可能になります。
この金額は教育資金としては十分な額が準備できると言えるでしょう。
18歳時点から既に金融格差!?
1点懸念事項があるとすると、金融格差拡大です。
NISA制度が始まった時から常に言われてましたが、これが18歳時点から起こるわけです。
900万円を教育資金として使用しなかった場合
18歳時点で900万円の資産を所持していることになるため、900万円の金融格差が生まれています。
そして、この900万円に一切手を付けず、そのまま追加投資なしで年利5%で運用していくと、、、
追加投資がなくても、子供が60歳となる42年後には約7,000万円近い資産になっています。
将来的に、老後○○万円問題になっているかは不明ですが、子供の老後資金の形成の手助けになることは間違いないと思います。
年齢 | 運用年数 | 資産額 |
---|---|---|
30歳 | 12年 | 約1,616万円 |
40歳 | 22年 | 約2,633万円 |
50歳 | 32年 | 約4,288万円 |
60歳 | 42年 | 約6,985万円 |
スイッチング制度導入
スイッチング制度とは
NISA口座で一度購入した投資商品を売却すると、投資元本の金額分の非課税枠が同じ年に復活し、他の投資商品を購入可能に。
たとえば、、、
100万円で購入した株が200万円になったため、利益確定の売却。
現在の制度
投資元本の100万円分の非課税枠は来年以降に利用可能。
→その年が終わるまで100万円分の枠はなかったものとなり、別の投資商品が欲しい場合は一般口座や特定口座で購入する必要がある。
改正後の制度
投資元本の100万円分の非課税枠が同じ年に利用可能。
→別の投資商品を同じ年に購入可能。
スイッチング制度のメリット
機会損失を回避
ある投資商品を利確した後、その投資元本を別の投資商品に移すことで非課税枠を有効に利用できるため、機会損失を回避できる点。
高齢者が資産を取り崩しながら、再投資可能
高齢者が資産を取り崩しながら、すぐに非課税枠を埋めることが可能。また、配当が出ない投資商品から配当が出るものへ徐々に移行させることが可能。
スイッチング制度のデメリット
購入時に手数料がかかる商品を何度も入れ替えて購入させられる。
このスイッチング制度を見た際に正直、これがすぐに頭に浮かびました。
制度を利用する側よりも銀行含めた証券会社に有利になる制度に思ってしまいました。
おそらく、ネット証券で口座開設した方々は購入手数料が無料のS&P500やオルカンなどを購入していると思われます。
しかし、銀行などで口座開設した方は購入時に手数料ががかかる投資商品を購入している可能性があります。
そのため、対面で担当者に言われるがままに購入手数料がかかる商品にスイッチングさせる、、、と言うことも可能になります。
このことを理解していないと、スイッチングのたび購入手数料分損をしてしまう結果となります。
スイッチング制度の改正案について
今後決定されていく内容として、スイッチングできる回数が制限されると言われています。
おそらく、年に1~2回ぐらいが良いところでしょうか。
回数制限がないと株式投資で利益を上げている人から税金を回収できないのは国として痛手な気がします。
とは言え、NISA口座では損益通算できないためデイトレードやスイングトレードに不向きなことから、そこは争点にならないのかもしれませんね。
商品ラインナップの拡充
どんな商品が拡充するのか?
主に毎月分配型投資信託の追加が検討されるとのことです。
理由としては、高齢者層が運用資産を少しずつ取り崩して生活資金に活用できるように、分配金の頻度を高めた商品ラインナップを増やそうという意図とのことです。
確かに、高齢者の方々はインデックス投資で資産増加を目指すというよりも資産取り崩し時期に入っており、年金+その他キャッシュフローで収入を得ることになります。
したがって、このような毎月分配型投資信託が追加されることは良いことなのでしょう。
ですが、この改正案の内容を見て銀行や証券会社が得するような仕組みのように感じてしまいました。
理由として
・毎月分配型投資信託はアクティブ型が多く、信託手数料が高いものが多い
→調べると1.5~2.0%のものが多いそうです
・毎月分配型投資信託はタコ足配当になっている商品が多い
※タコ足配当とは、得られた利益からではなく投資元本から毎月の配当を支払っている状態。
・毎月配当の米国債券ETFであるAGGなどの商品は追加の検討されない可能性あり
→自分が保有しているからかもしれませんが、安定して配当を排出する良い投資商品だと考えています。為替リスクがあるのは事実ですが、、、
まとめ
NISA改正要望は神改正!
もっと欲を言うと、1,800万円の上限をさらに増やしてもらえると良いのですが、、、
現在、自分1,800万円分+妻の1,800万円の計3,600万円分の枠を埋められるか怪しいですが笑
18歳未満でも利用可能
・子供を持つ家庭からすると神改正!教育資金、子供の老後資金形成に有効活用可能
・18歳時点での金融格差拡大に繋がる可能性あり
スイッチング制度
・非課税枠部分を利用した機会損失を避けられる
・資産を取り崩しながら、すぐに非課税枠を埋めることが可能
・購入手数料のかかる商品へのスイッチングには注意
商品ラインナップの拡充
・毎月分配型投資信託の追加が検討されている
・信託手数料が高く、タコ足配当が多い商品が追加されるのに対し疑念が残る
・毎月配当の米国債券ETFであるAGGなどの商品は追加の検討されない可能性あり